先日行われたバーチャルカンファレンスDegreed LENS Liteのプレゼンテーションや会話を通して浮かび上がってきたトピックの1つとして、職場での心理的安全があります。
職場での心理的安全とは?
心理的な安全について聞いたことがない場合でも、おそらくそれがどのようなものかを感じることができると思います。罰や反発を恐れることなく問題に取り組むことができる自由があったり、解決策を完全に知らなくても間違いを指摘できたりします。それはすべての答えを持っているわけではなく、それが大丈夫であることを知っているからこそできる快適さがあるからです。
Degreed LENS Liteでの基調講演で、組織心理学者のAdam Grant氏は、学習文化は心理的安全性と説明責任という2つの重要な要素で発展することができると述べました。彼の最新の本「Think Again, The Power of Knowing What You Don’t Know」は、そのような文化を達成するために何が必要かを説明しています。「人々が報復を恐れることなく懸念や提案を提起できる、尊敬、信頼、開放の風土を育くみます。それが学習文化の基盤です。」
多くの人が心理的安全が間違いを助長すると考えていますが、研究は心理的安全が間違いを防ぐことを示しています。Grant氏は彼の本の中で、経営学教授のAmy Edmondson氏の話を語っています。医療誤診の数が多いことに興味を持ったEdmondson氏は、病院のスタッフに対してチーム内の心理的安全性について調査しました。彼女の調査結果では、より良いチームは、より少ない間違いで済んでいるという彼女の仮説を立証しませんでした。逆に、心理的に安全だと感じているチームメンバーのミス率が高いことがわかりました。Edmondson氏はさらに調べてみると、これらのチームはこれ以上ミスを増やすことはなく、実際にミスを減らしていました。また、このチームメンバーは、心理的に危険と感じていた他のチームメンバーよりもミスを報告したことによる影響を恐れていなかったので、ミスを自己報告する率が高かったのです。
職務上の学習文化では、ミスは失敗とは見なされません。代わりに、ミスは改善するチャンスと見なされています。そして、人々はリスクを冒しながらも新しいアイデアを生み出し、課題に正面から取り組むことをサポートされていると感じます。好奇心を擁護する支援的な環境は、企業組織がミスを減らし、より多くのイノベーションを受け入れるのに役立ちます。実際、Googleでは、職場での心理的安全性が効果的なチームを維持する上で最も重要な要素であることを発見しました。概して、メンタルヘルスのある職場の従業員は、時間と費用を節約し、生産性を向上させます。
職場での心理的安全を促進するための重要な要素には、尊敬、自律、信頼、可能性が含まれます。学習文化を通じてこれら要素を形成し、サポートすることができます。これがまさにDegreedの目的です。
歴史的に、学習と能力開発を含めトップダウンアプローチは、職場の文化全体で導入されてきました。学習部門のリーダーは、従業員に何を学んでほしいかを特定し、それらのスキルを教えるソリューションをもたらしました。その学習を受け、仕事をしている従業員からの意見の余地はほとんどありませんでした。仕事の構造が進化するにつれて、最新のソリューションは、学習ニーズを満たすために従業員とマネージャーのエクスペリエンスに焦点を合わせてきました。Degreedはまさにそれを行い、組織全体で従業員が情報を持ち込み、共有し、アクセスすることを容易にします。従業員を重視しながらこの環境を構築すると、成長とエンゲージメントが高まり、従業員はラーニングジャーニーをより快適に感じることができます。
職場での心理的安全をどのように導入するのか
模範を示して指導することは、心理的に安全な学習文化を生み出すために不可欠です。なぜならリーダーシップをとる人の行動は従業員に劇的な影響を与えるからです。事例を挙げながら、業界のリーダーや世界規模のラーニング部門やタレント部門が、学習文化の中で心理的安全性を優先して導入する際に、どのようにリードしているかを見ていきましょう。
Adam Grant氏:謙虚さと弱みを認める
Grant氏は、職場での心理的安全を実施する際に、リーダーはフィードバックを求めるだけでなく、それ以上のことをする必要があることを強調しています。あなたが批判を受けいれられることを周りの人々に示すことがカギです。「まだ得意分野ではないこと、または今学んでいる最中の分野があることを認めることができるようにするには、謙虚さと弱みを受け入れることが必要です」とGrant氏はLENS Liteで語りました。「そして、私たちは、周りの人々に対しても謙虚で弱みを受け入れる機会を広げる必要があります。」
貴社従業員が心理的安全を感じることを確実にする最良の方法はあなた自身のプロセスと挑戦についてオープンにすることです。これにより、企業組織全体の透明性が確保されます。
Unilever社:リーダーを通じたロールモデル
Unilever社のCHROであるLeena Nair氏は、リーダーによるロールモデルがUnilever社の成功を推進するコアバリューであるとLENS Liteで語りました。「私たちはリーダーになろうとしている人たちに投資して学習をリードしています。人々が学習課題や学習しようとしていることを話したり、時には失敗していることについて心理的に安全な状態を持ちながら話すことができる環境を常に作り上げなければなりません。」
ミスしたことをマネージャーが叱責しないことを従業員が知った時、従業員のラーニングジャーニーはより快適になります。Degreed社のレポート「How the Workforce Learns report」のデータでは、学習イニシアティブの推進者が、従業員の現在の職務でより良いパフォーマンスを発揮するために必要なスキルを知っている可能性が20%高くなり、従業員のキャリアを伸ばすために必要なスキルを知っている可能性が27%高くなっていることを示しています。また調査データは、ポジティブな学習文化が経営陣による支援と連携してこそ機能することを示しています。また調査データでは、ポジティブな学習文化は、従業員はより満足し、推進者はより良い結果を経験することを示しています。
各部門のリーダーは、メンターシップやコーチングの機会、その他のインターナルモビリティを通じて、より実践的な方法で従業員のラーニングジャーニーをサポートすることができます。貴社組織のスキルデータを使用して、Degreedは、メンター、メンティー、コーチングに関心のあるリーダーと従業員を結び付けることができます。また貴社従業員は現在のスキルセットに基づいて、フルタイムのポジション、ストレッチプロジェクト、他の社内オポチュニティを見ることができます。特定のスキルをフォーカススキルとして指定することで、従業員はリーダーとラーニングジャーニーについての会話を始めることができます。従業員はリーダーとつながり、スキルを向上させる機会を提供され、それを一つのプラットフォーム上で行うことができます。エクスペリエンスラーニングに対するこの種のサポートは、貴社従業員が職場で心理的に安全であると感じることを確実にするのに役立ちます。
Whirlpool社:アクセス可能にする
「Whirlpool社には、従業員が安心してラーニングジャーニーするためのアクセス可能で徹底的なプロセスがあります」とCorporate Learning & Development部門シニアマネージャーのRayssa Medeiros氏はLENS Liteで語りました。彼女は、リーダーシップの関与とコミュニケーションの重要性を強調しました。「従業員は不安になりがちなので、この心理的な安全を作り、従業員に情報を提供し続ける必要があります。」
Whirlpool社は、学習についてのオープンで正直な会話を優先します。従業員は自分の将来にとって重要なスキルを特定し、関与する部門のリーダーは従業員のラーニングジャーニーをサポートし、従業員自身に合った目標にするのを助けます。
Degreedはシステムにアクセスしやすくするのに役立ちます。従業員は学ぶ入り口が1つで済み、将来の仕事に備えて実際にアップスキリングとリスキリングに集中する時間を増やすことができます。さらに、Degreedのような一元化されたシステムにより、Whirlpool社のように組織全体でコンテンツを共有することは簡単であり、リーダーと従業員の間の障壁を打ち破ります。
FICO:信頼の構築
過渡期の心理的安全を確保することも重要ですが、従業員が仕事で毎日安全であると感じさせることも重要です。FICOの学習部門のリーダーは、従業員のスキルデータの使用方法についてオープンにすることで、これを実現するのに役立てています。Digital Learning部門のシニアディレクターであるChrissy Chamberlain氏は、FICOは学習をパフォーマンスの観点から測定しないことを従業員に保証したとLENS Liteで語りました。「スキルはパフォーマンスの測定方法の一部ではないことをリマインドしました。私たちは、行動とパフォーマンスベースの成果の組み合わせに基づいてパフォーマンスを測定します。これにより、従業員個人は自分が現在どこにいて、将来どこに行く必要があるかについて非常に正直に向き直します。」
FICOはパーソナライズされた計画を作成し、時間の経過とともに成功を測定しながら、従業員とマネージャーが積極的な参加者になることを奨励しています。これらの計画を会社のビジネス目標に合わせ、FICOは継続的に業界への影響力を拡大しながら、学習の過程で従業員をサポートすることができます。このため、従業員は自分の進歩を共有することに安心感を覚えます。そしてそれに応じて、彼らはよりオープンになり、学習ニーズを受け入れるようになります。
今日の世界では、データは当然のことながらデリケートなトピックです。FICOは、スキルデータの使用について従業員を安心させるのに素晴らしい取り組みをしました。Degreedで、データを使ってスキルギャップを埋め、ストレッチプロジェクトを促進し、新しいオポチュニティを共有します。従業員のラーニングジャーニーを会社の価値観に合わせると、自分の長所と短所、成長と流動性、そして究極のキャリア目標についての会話が容易になることに気付くでしょう。この個別化されたオープンなアプローチにより、エンゲージメントとリテンションを高めることができます。透明性と信頼は、職場での心理的安全を構築するための重要な要素です。
成功の測定
職場の課題や状況が変化するにつれて、私たちは把握していることを継続的に再考する必要があります。よくあることわざ「私に問題をもたらさないで。私には解決策をもたらしなさい」は、職場環境を心理的に安全ではないものにする典型的な例です。あなたの行動を修正し、すべての答えを持っていないことにオープンにし、そして従業員に耳を傾けることは心理的安全な環境を構築するのを助けるでしょう。
職場での心理的安全の創出はすぐには起こりません。従業員はその考え方に慣れ、心を開く必要があります。貴社文化の基盤に根付いていない場合、すぐに消えてしまうこともあります。
心理的に安全な環境を構築したことをどのようにして知ることができるのでしょうか?それは従業員が問題提起することに抵抗を感じなくなった時です。Grant氏の提案の1つは、提案ボックスのアイデアを取り入れて、提案ボックスを問題ボックスに変えるというものでした。「技術的なバグかもしれませんし、管理上のバグかもしれませんし、文化的なバグかもしれませんが、(誰かが)何かが壊れているのを見た時、に挙げる場所を用意する。その場所はGoogleドキュメントかもしれませんし、Slackチャネルかもしれません。問題ボックスがあれば、問題を見つけた人がその問題を提起することがはるかに簡単になります。そして適切なスキルを持つ従業員が取り組み始めることができます。」
さらに詳細は
上記の全プレゼンターは、On Demandページで見つけることができます。
また11月開催されるLENS LA 2021にご参加ください。ここでは、テクノロジーと人々が持つ/持たないスキルに関するデータを活用する最もスマートな方法を探ります。これにより、貴社のすべての人材の採用、管理、開発により良い投資を行うことができます。
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By Christiana Torres, Content Coordinator
June 30, 2021
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