eラーニングに携わっている方なら、「ゲーミフィケーション」という言葉を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。言葉を聞くとなんだか楽しそうですよね?しかし、単にバッジやリーダーボードといった仕組みを取り入れるよりも、ゲーミフィケーションには慎重に考えなければいけない側面があります。
eラーニングのゲーミフィケーションとは、ゲーム要素とゲーム手法をオンラインラーニングコンテンツなどのゲームではないものに取り入れて、楽しく魅力的なものにすることです。言い換えると、ゲームの仕組みや考え方を使って、学習者が最終学習目標に向かい、率先して学ぶことを助けることです。
これらのゲーミフィケーションテクニックにはどのようなものがあるのでしょうか?どのようにeラーニングに取り入れることができるのでしょうか?いくつかのアイデアを紹介します。
物語、ストーリー
多くのゲームの重要な部分は、背後にある物語やストーリーです。これらのストーリーには、主人公(キャラクター)、乗り越えるべき壁(キャラクターが直面する課題・挑戦)、プロット、レベル、段階(イベントのシーケンス)が組み込まれていることが多いです。
このゲーム要素を組み込む方法は?
シナリオ作成はコースにストーリー要素を加える優れた方法です。シナリオにはプロットや一連のイベントに登場するキャラクターを含みます。
ルール
ルールは、期待とパラメータを設定するためのゲームの重要な部分です。ルールはプレイヤーに何ができるのか、何ができないのかを伝えます。
このゲーム要素を組み込む方法は?
学習者にルールを伝えるための具体的で簡潔なシナリオを用意します。コースのすべての段階やイベントで、学習者に何を期待するのか、何をすべきかを明確に伝えることを忘れないようにしてください。
プレイヤーコントロール
ストーリー内の旅と結果をプレイヤーがコントロールできることは、多くのゲームの共通要素です。プレイヤーは成功に向かってコントロールしたいと感じています。
このゲーム要素を組み込む方法は?
学習者にコントロールさせる1つの方法は、コースに表示されるアバターやキャラクターを選択させることです。もう1つの方法は、ナビゲーションで学習者がコンテンツの進行をコントロールさせることです。学習者に単純で直線的な通り道を強制するのではなく、いくつかの分岐可能な選択肢を持つメインメニューからコンテンツにアクセスさせることです。
発見
ゲームは発見と探検プロセスをよく組み込みます。一般的に人は隠された宝物を「手に入れる」ことが大好きです。
このゲーム要素を組み込む方法は?
追加情報が隠されたアイテムや、追加ポイントを獲得する機能などを含めることです。
追加情報の探索は楽しいことなのですが、学習者が知らなければならない本当に必要な重要な情報は追加情報として設定しないようにしてください。また学習者が探すアイテムについて明確な指示を提供するようにしてください。どこを探せばいいのかわからないまま、ぼんやりとクリックさせることほど悪い設計はありません。
インタラクティブ性
何もする必要のないゲームをプレイしたことがありますか?ないですよね!ゲームはすべて、頭脳的であれ身体的であれ、刺激とエンゲージメントが必要であり、プロセスとして何かをさせるべきです。
このゲーム要素を組み込む方法は?
コンテンツをよりインタラクティブにする方法を考えてください。それは単にユーザーが頻繁に「クリック」することを意味するのではなく、学習者が考えて決定を下す必要がある意味のあるインタラクションを作成することです。情報を完全に伝えるのではなく、リストから正しい選択肢を所定の場所にドラッグするように指示したりすることです。また線形プロセスのステップを提示するのではなく、ステップ自体を自分で選んでもらうことです。
フィードバック
フィードバックはゲームの重要な部分です。アクションが行われたことをユーザーに知らせたり、進行状況をプレイヤーに提供します。フィードバックはテキスト情報である必要はありません。例えば、新しいアイテムのカギが解除された様子を表示することは、プレイヤーがうまく進んでいると認識するフィードバックの一つです。
このゲーム要素を組み込む方法は?
バッジやチェックポイントを表示するだけでも、フィードバックや成果を示すことができます。進捗を表すプログレスバーは継続的なフィードバックを提供し、学習者にどのあたりにいるのかを知らせる優れた方法でもあります。
時間の制約
ゲームは時間の制約を設けることで切迫感を生み出します。これによりゲーマーに考えて迅速に行動するようにプレッシャーをかけられます。
このゲーム要素を組み込む方法は?
実際の制約をシミュレートするには、クイズでカウントダウンタイマーを使うことを検討してください。たとえば、コールセンター業務で対応のための通話時間を5分未満で完了してもらいたいと期待している場合は、学習者が合格するための時間制限を5分に設定します。
損失回避
損失回避とは、利益を獲得するよりも損失を回避する方を好む人間の傾向を指します。研究によると、損失は利益の2倍ほどの影響力があり、この傾向は多くのゲーム開発者によって利用されています。
このゲーム要素を組み込む方法は?
例えばコース内でポイントシステムを使用して、不正解により蓄積しているポイントが削除されることを知らせます。またチェックポイント付きのマップなどの視覚的な進行状況メーターを使用して、学習者がコンテンツを進めながら前進/後進するかどうかを確認できるようにします。
継続プレイ
継続プレイとは、ゲーマーが中断したところから再開してゲームを続行できる機能です。ゲームに「負けた」場合でも、そこからやり直して何度でもやり直すことができます。
このゲーム要素を組み込む方法は?
学習者がコンテンツを再試行したり、再訪問することはよい兆候です。それは学習者が興味をそそられていることを意味します。学習者がコースコンテンツを再訪できるようにしておくことが重要です。
継続プレイをコースに組み込む1つの方法は、学習者がクイズやアセスメントを不合格した場合に再受験できるようにすることです。別の方法は、設問に間違った場合、その設問自体に二度目のチャンスを与えることです。
報酬、ご褒美
ボーナスポイントやご褒美は、人の気分を良くし、多くのゲームで広く使用されています。
このゲーム要素を組み込む方法は?
より難しい質問に対して学習者に「ボーナスポイント」を与える、または適切な選択に基づいて追加のご褒美を獲得できるように検討してください。
レベル
様々なレベル、目標、課題を達成することは、ゲームの共通のテーマです。
このゲーム要素を組み込む方法は?
1つのアイデアとしては、章やモジュールではなく、コンテンツを「レベル」で編成し、学習者が質問に正しく答えたり、特定のポイントに達した時にロックされていたレベルを解除したりします。
競争、コンペ
リーダーボードは、ゲームの世界で競争を促進させる最もポピュラーな方法です。リーダーボードはプレイヤーとスコアをランキング表示します。プレイヤーは、スキルと努力に対する承認欲求を持つのでリーダーボードを好む傾向があります。
このゲーム要素を組み込む方法は?
企業内イントラネットページやLMSを使用して、学習者が同僚の進捗状況を確認できるようにします。しかし共有する情報には注意してください。低いスコアを公開されてしまうと恥ずかし目を受けたと感じるかもしれません。
覚えておいていただきたいのは、eラーニングコースにゲーミフィケーションを適切に、かつ効果的に組み込むには、ゲーム要素を十分に検討し、設計する必要があります。ゲーミフィケーションについてもっと知りたい場合は、下記の関連リンクをご覧ください。
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