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執筆者の写真DISCE

過去を振り返りすぎるとキャリアモビリティは実現しない

更新日:2023年11月22日


人事業界がなぜ「パフォーマンスマネジメント」という用語を採用したのか、私には理解できませんでした。誰かのパフォーマンスをうまく管理することは非現実的な期待です。ほとんどの親は10代の子供の行動と学校でのパフォーマンスマネジメントに苦労しています。ではマネージャーが他の大人のパフォーマンスをうまく管理できると真剣に信じているのはなぜでしょうか?

マネージャーの役割はenabler(イネーブラー)、つまり可能性を引き出す役割だと私は考えています。チームと個々のメンバーのパフォーマンスを向上させ、従業員がキャリアの目標を達成できる環境を作ることを主な仕事とするイネーブラー。このイネーブラー能力には、マネージャーとしてコーチングし、メンタリングし、障害を取り除き、成功のヒントと励ましを提供し、従業員がより高いレベルに到達するように促し、パフォーマンスとキャリアの成長をサポートするために必要なリソースとツールを提供するという能力が必要です。


ポジティブイネーブラー


この定義が示すように、「イネーブラー」という言葉には否定的な意味合いがあり、これは心理学についての議論で頻繁に出てきます。

しかし、イネーブラーはポジティブになることもあります。イネーブラーは建設的で生産的な方法で行動に影響を与えることができます。

「Be Your Own Counselor and Coach」の著者であるRuth Nina Welsh氏によれば、『ポジティブイネーブラーは物事を可能にするのを支援します。イネーブラーは人の計画をサポートし、夢を達成できるように励まします。』と言っています。

『ポジティブイネーブラーになることは無欲の行動です。イネーブラーが人のために最善を望むので行動します。ポジティブイネーブラーは物事を可能にするのを支援したいと思っています。誰かを従えたり上司になったりすることではなく、サポート的な存在になることです。』とWelsh氏と述べています。

多くの人にとってWelsh氏の見方は抽象的すぎるか、もしくは感情に訴える気持ちの良いメッセージのように思えるかもしれません。しかし、そこには真実があります。私たちは皆、人々のインフルエンサーになることができます。そして私は皆、経営層からインスピレーションを得た時に最高のパフォーマンスが得られることを知っており、経営層が従業員の成功に関係し、従業員の成功に投資していると心の底から信じています。

この概念、つまり人々を成功に導くという概念は、ポジティブイネーブルの基盤です。

しかし残念ながら従来のパフォーマンスマネジメントプロセスが優先されています。


従業員の評価はシーソー的なの歴史


従業員評価の主要ゴールは数十年にわたって変化しました。時には従業員の説明責任を強化することもあれば、従業員の育成を推進することもあります。

パフォーマンスアセスメントの歴史をたどる2016年のHarvard Business Reviewの記事「The Performance Management Revolution」によると、「評価は、退役させるか転籍させたいパフォーマンスが低い者を特定するために第一次世界大戦中に作成された米軍の「メリットレーティング」システムにさかのぼることができます。また第二次世界大戦後、米国企業の約60%が「メリットレーティング」を使用しました。そして1960年代までには90%に近づきました。」といいます。

しかし1950年代後半から1960年代では、マネジャー人材の不足により企業は新しいスーパーバイザーや幹部を「育成」するようになりました。

1970年代にはいると振り子はまた逆の方向に振れました。インフレが横行する中、年間賃金の引き上げが重要になりました。この本によると新しい差別禁止法により、企業はより客観的な報酬支払を行わなければならないようになったといいます。「多くの企業にとって、説明責任は能力開発よりも優先されました。」

1980年代にゼネラル・エレクトリックのCEOであるジャック・ウェルチによって導入された従業員の強制ランキングは、従業員に説明責任を持たせるために評価の使用を強化しました。ボーナス給与を給与税控除の制限から免除した1993年の法律も、他の要因とともにこの傾向を強めました。

2000年代初頭までに、米国企業の約3分の1と、Fortune500企業の60%が強制ランキングの仕組みを使用していました。

しかしこの10〜15年で、振り子は従業員パフォーマンスを促進する方法としてパフォーマンスの評価に向かって振り戻り始めました。しかし十分に振り戻れていません。それについて何ができるかについて話しましょう。


今日のパフォーマンスマネジメント


ほとんどの企業では、年次のパフォーマンスレビューは人事パフォーマンスマネジメントの主要な部分です。レビューでは通常、次の4つのトピックのうち少なくとも2つを取り上げます。

  • 結果(事前に設定された目標の従業員の達成度についての説明を含む)

  • 貢献度(他の従業員と比較した従業員の努力評価を含む)

  • 品質(達成結果の品質評価を含む)

  • 行動(従業員がどのように結果を達成したかについての説明を含む)

多くの場合、パフォーマンスレビューは、マネージャーが1年間のパフォーマンスに関するフィードバックを提供する方法として位置付けられています。これらは、経営層に来年の重点分野または改善分野をレポートする方法としてもてはやされています。


パフォーマンスレビュー:障害のあるプロセス


実際にはパフォーマンスレビューは、従業員が貢献度と結果に応じて報酬を受け取るために、認識される方法もしくは方法を決定するために使用されるツールです。そのため、パフォーマンスレビューの議論は、多くの場合、従業員のレイティングや従業員の不満についての交渉の場に変わります。

パフォーマンスレビューを支持する人はこのツールが、従業員が訴訟を起こした場合にパフォーマンス低下の証拠としても機能すると言っていることがよくあります。しかし多くの場合、パフォーマンスレビューは実際には十分に実行されていない、もしくは矛盾した表現のために従業員を傷つけていると述べて、多くの従業員弁護士がパフォーマンスレビュー上のの決めつけに反対しています。

パフォーマンスレビューに関する多くの問題を列挙することができますが、Houston Chronicleの記事「パフォーマンス評価の欠点」で特定された最も悪質なものを見てみましょう。パフォーマンスレビューの無効さ、不公平さ、そして場合によっては有害にする4つの主要な問題を特定しました。

パフォーマンスレビューは次の理由で問題があります。

  • 視点を制限 パフォーマンスレビューは、他の人からのフィードバックによってサポートされることもありますが、基本的には1人の見解に基づいており、ほとんどの場合はマネージャーによって実施されます。

  • 意欲を削る パフォーマンスレビューは報酬を決定しますが、パフォーマンスレビューは常に正確にパフォーマンスと報酬を関連付けられるわけではないという点で、従業員には正確ではないと見なされます。例えば、最高の評価を受ける従業員数を制限しなければならない制度(相対評価)やその他の戦術によるものです。

  • 時間の浪費 すべてではないにしても多くのマネージャーは、パフォーマンスレビューを書いたり実施するのを恐れています。パフォーマンスに関するデータを収集し、評価期間(通常は1年)を反映したレビューを書くためにパフォーマンスレビューディスカッションを実施するのは、経営層が知る内容はほとんどの従業員にとって満足できるものではないとしても時間がかかるからです。

  • 先入観への対応 パフォーマンスを評価する時、評価者は自分の先入観を持ち込みます。これらの先入観は、本質的に社交的であるのか、またはコミュニケーションスタイルや職場や従業員との関係性の快適さなどの様々な要因によるものです。


このトピックに関する最近の調査は目を見張るものがあります。2019年に出版された5年間のGallup調査「The Manager Experience」によると、一般従業員のわずか13%しか、マネージャーに至ってはわずか8%しか、パフォーマンスレビューが改善につながるとは思っていません。


この調査でマネージャー達は次のように述べています。『パフォーマンスレビューは、公平かつ正確ではないことがわかりました。従来のパフォーマンスレビューに対する議論があった場合、次のようになります。パフォーマンスレビュー管理は、レビューを受け取るプロセスを重視していないということです。』

多くの企業がこの従来型のパフォーマンスレビューから廃止し、パフォーマンスを改善するために他の仕組みを採用したことはごく当然のことです。


キャリアモビリティの実現


企業がパフォーマンスレビューを他の方法に移行する場合でもポジティブイネーブルメントを中核的な目標として採用する必要があります。理由は、ポジティブイネーブルメントはキャリアモビリティをサポートするのに適した企業文化を育むからです。これは、企業組織や個人にとって真に変革をもたらす可能性があります。

キャリアモビリティは、従業員がキャリアアップの新しいオポチュニティ(活躍の場)につながる新しいスキルを学んでいる時に起こります。キャリアモビリティは雇用者と従業員の双方にとってメリットのあるものです。雇用主は新たな課題に直面したとしても企業組織の競争力を維持できる社内の候補者の絶えず発展する人材プールとして利益を得ることができます。従業員も、より積極的に取り組み、未来にもっとワクワクし、新しいプロジェクトや職務に取り組み、専門的なキャリア目標を達成できるため、利益を得ることができます。


パフォーマンスプレビュー:ダイナミックプロセス


パフォーマンスレビューを置き換える優れたモデルは、私が「Performance Preview:パフォーマンスプレビュー」と呼び始めたもので、概念は次のとおりです。マネージャーと従業員間の会話で年度の始まりがキックオフされます。従来のパフォーマンスレビューは本質的に過去をbackward:振り返りますが、パフォーマンスプレビューは常にforward:前向きです。仕事をうまく進めるために従業員が何をする必要があるか、そして個々人のキャリアジャーニーで前に進み続けるために企業に必要なものに焦点を当てています。

パフォーマンスプレビューの重要な部分は、キャリアモビリティに対するサポートを解放することです。サポートとは、従業員が持っているスキルとこれから必要なスキルを理解することです。最近では、キャリアは不透明になってきています。むしろスキルと経験のポートフォリオになってきています。誰かのキャリアが流動性がある時、彼らのスキルがどのように進化したか、または彼らがどれだけ移行できるかを示すことができるからです。

マネージャーが従業員の必要とするスキルをベースに能力開発の旅を計画するのを積極的に支援する場合、従業員と企業の関係者全員にとって成功に向けた重要な最初のステップとなります。そして素晴らしいことが起こります。それは学習プロセスの始まりです。また、学習をスキルと職務にマップするDegreedのような高度なプラットフォームは、従業員を様々なキュレートされ、パーソナライズされた学習コンテンツにすばやくつなげるのを支援します。

次のステップは従業員が新しい知識を生かすための現実の機会を提供することです。これらのようなキャリアモビリティの機会には、シャドウイング、メンタリング、短期割当プロジェクト、アドホックプロジェクト、新しい職種も含まれます。従業員が新しい知識を試すことができ、自信をつけ、さらに新しいスキルを構築し続けることができるので、この仕組みは好循環となります。

そのすべてを通じて、マネージャーは従業員に成功のヒントを提供します。過去を振り返る、後向きのフィードバックではありません。


ポジティブイネーブルメントが前進させる


ますます多くの企業が従業員との継続的なキャリアの会話を採用するように、貴社もそうすべきです。

従来のパフォーマンスレビューに引き続き依存している場合は、この事実について素直に考えてください。この仕組みは、補償問題の論理的根拠を見つけたり、パフォーマンスの問題を文書化して訴訟責任を取り払うためのツールです。

また、これについても現実的に考えてください。過去を振り返るパフォーマンスレビューでは、企業組織が従業員の仕事と貢献を有意義な方法で改善するのに役立ちません。

従業員を真に支援し、企業組織が前進するのを支援するには、キャリアモビリティをサポートするダイナミックで前向きな従業員育成プロセスが必要です。

詳細については、Degreedガイド「従業員をアップスキリングする7つのステップ」をご覧ください。

 

By Janice Burns, Chief Career Experience Officer

August 27, 2020

 

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