筆者が教壇に立ち始めた頃、学生にとってアクセシブルな授業にすることに焦点を当てた研修日がありました。多くの教職員は『なぜアクセシビリティにこだわるのだろう?アクセシビリティは何人の学生に影響を与えるのだろう?なぜそんなに重要なのか?』と不思議に思っていました。私の同僚教員に共感が欠けていたわけではなく、むしろ純粋に好奇心が強かったのです。実際、企業組織やeラーニング開発者は、日々アクセシビリティについて考えなければならず、同じような質問をすることがよくあります。
アクセシビリティの概念を初めて知る人のために、定義から始めましょう。アクセシビリティとは、移動障害、視力障害、聴覚障害などの障害を持つ人々が、他の受講者と同じようにコースの教材を学ぶことができることを意味します。
eラーニングにおいてアクセシビリティが重要である4つの理由を見てみましょう。
1. 508コンプライアンス
米政府機関にお勤めなら、508コンプライアンスをご存知でしょう。これは、連邦政府機関(またはプロジェクトのために連邦政府から資金援助を受けている機関)に対して、eラーニングコースやドキュメントなどのオンライン教材を障害者が利用できるようにすることを義務付ける法律です。508コンプライアンスは、アメというよりはムチなのですが、アクセシビリティがあなたにとって重要であるかもしれない大きな理由の1つです!
2. ビジネス的観点
アメリカ人の26パーセントが何らかの障害を抱えていることをご存知ですか?つまり、オンライン小売業者のWebサイトが完全にアクセシブルでない場合、潜在顧客の4人に1人がサイトを効果的にナビゲートできず、ビジネスチャンスを逃していることになります。
では、別の角度から見てみましょう。2018年現在、労働人口の3,000万人以上(16歳以上)が障害を抱えています。
これをトレーニングの観点から考えてみましょう。アクセシブルなトレーニングがなければ、従業員間にスキル格差が生じる可能性があり、それは人的資本コストです。トレーニング教材が完全にアクセシブルであれば、従業員の能力をどれほど向上させることができるでしょうか?従業員の一部を無視してはいけません。彼らは、競合他社に、より融通の利く職場を見つけるかもしれません。
3. 会社の士気
「アクセシビリティは正しいことだ」という主張は、会社の予算担当者を説得できないかもしれませんが、仲間を思いやることには意味があります。全従業員がトレーニング教材にアクセスできるようにすることを要求するほど、会社が気にかけているという事実を、従業員が高く評価することに気づくかもしれません。
4. すべての学習者のユーザビリティの向上
アクセシビリティ要件の多くは、コースのユーザビリティを向上させることによって、すべての学習者に利益をもたらします。例えば、一貫したナビゲーションは、スクリーンリーダーを使用している人がコースをナビゲートしやすくするだけでなく、すべての人もコースをナビゲートしやすくします。音声およびビデオにトランスクリプトまたはクローズドキャプションを提供することは、耳の不自由な方だけでなく、騒がしい環境やヘッドフォンを使用できない環境でコースを受講する方にもメリットがあります。適したカラーコントラストを使用することで、視覚障害者だけでなく、屋外の明るい環境でコースを受講しているモバイル学習者にとっても、eラーニングコンテンツの視聴が容易になります。これらは、アクセシビリティ基準の適用が学習者全体に利益をもたらす方法のほんの一例に過ぎません。
まとめ
eラーニングコースをアクセシブルにすることが法律で義務付けられている場合でも、単にやるべき正しいことだと考えている場合でも、アクセシビリティ基準を適用することで、コースのユーザビリティに良い影響を与え、従業員の定着率を向上させることができます。
これは、eラーニングにおいてアクセシビリティが重要である理由のほんの一部に過ぎません。
また、アクセシブルなコースの作成についてもっと知りたい方は、以下のリソースをご覧ください。
この記事が、アクセシビリティに配慮したeラーニングを作成するための正しい道のりを歩み始める一助となれば幸いです。
株式会社ディーシェは日本におけるArticulate製品の販売代理店です
Comments